コマミヤンの日記

人がやっているのを見て僕もやってみたいと、そう思い勢い任せで始めてみました。漫画とかアニメとか、そっち系のものが趣味ですけどそんなに詳しくはないです。基本的には自分が何かのタイミングで思ったこととかを書く日記になりそうです。仲良くしていただけたらとてもうれしいです。

伝説的エロゲー「好き好き大好き」をやったゾ

 最近メガストアというエロゲー雑誌にはエロゲー一本が丸ごと入ったディスクが付録として付いてくる。その付いてくるエロゲーと言うのもそれなりに知名度の高いものが多く、雑誌購入までは踏み込まなかったけれども、太っ腹なものだなと横目で見ていた。

そんな折、3月末に発行されるメガストア5月号に「好き好き大好き」というエロゲーが収録されることが一部で話題となった。このゲームはいわゆる「狂気ゲー」と呼ばれるモノ。その分野の中でも突出してエグいとされる内容故に多くのエロゲーマーから畏怖されている作品であり、中古ショップではショーケースに入れられるようなレアもの。

そんな一部で伝説と化している作品が付録となれば、そりゃあ購買意欲も高まるってものです。いうことで、こわいけど、買いました。僕はそんなにエロゲーをたくさんやる人間じゃないし、まして監禁だの凌辱だのというのは苦手だけれど、この「好き好き大好き」をやったとなればオタクとして少しは箔が付くってものでしょなんて考えもありつつプレイ。せっかくブログも開設したのだから、感想でも書く。あ、ネタバレ全開です。

 

物語の導入部分を説明すると、ゴムフェチの主人公が電車の中で見かけて好きになっちゃった女の子を誘拐し、ラバースーツに視界も遮るゴムマスクを着せて地下に監禁したところからゲーム開始という、既に主人公がバッドエンド確定の選択肢を選んでるファンキーなもの。そしてゲーム開始時点で女の子が手中にあるにもかかわらず、主人公は女の子に手を出さない。「何もしないから安心して。」「ただそばにいてほしいんだ。」などと女の子に語りかける。

こんなあらすじだもの、ゲームやらずとも「もう勘弁してください」な人続出で話題になるのも頷けよう。あと登場人物は監禁した女の子以外には、つきまとう後輩・再開した幼馴染×2・心理学専攻の大学院生がいて、みんな少しマトモじゃない。

 

ここから感想。

まず、とても面白い作品だった。ただ、不快な気分にしかならない。ここから先なにがそんなに不快な気分にさせたかということを書くことになると思うけれどこき下ろしているわけじゃなくて、あぁもう一度言っておこう、とても面白かったと。

とにかく主人公が不快だった。これは完全に僕の感覚の話だけれど、主人公の理屈を聞くと、僕は父親を連想させられた。主人公はヒロインが「いつか自分を、ゴムを受け入れてくれる。僕はこんなに愛しているのだから」といったような事を言うのだけれど、ここで僕は父親が僕を躾けるときによく口にした、「俺はお前のためを思ってやっているのに」「本当のお前は素直で優しい人間なのに」「俺はいつも信じているのに、お前は裏切り続ける」といった言葉の数々を思い出してしまう。これらの言葉を聞くと、僕と言う人格が僕の中になんか存在しなくて、僕の番人である父親の中にのみ存在し、完結してしまっているような気分になるのだ。

それもあって、この物語が「愛深き故に・・・」な作品であるという意見も多いようだけれど、個人的にはこの主人公、ヒロイン本人の事を好きになんかなっていないと感じた。ヒロインを見続けたことで自分の中に生まれた虚像に恋をした、といったところ。主人公の中では自分の何もかもを受け入れてくれるヒロインの姿をした「何か」が出来上がってしまっている。

もっと言えば、主人公が一番大好きなのは自分自身なのじゃないだろうか。彼は劇中で自分が幸せになる、欲求を満たすことを何よりも優先している。ヒロインに「なにかして欲しい事があったらなんでも言ってくれ」なんて言うくせに、少しでも自分に不利益があるとなればそれは出来ないとなる。

外側から自身に向かってくる「愛」にも、やたらともろい。他のキャラが少しでも自分に対して好意を示す、または好意があるのでは?と思わせることをすると、途端に揺らぐ。地下にいる、いつまでも自分を受け入れてくれないんじゃないかと思わせる女よりも・・・と。

とにかく自分を肯定してくれるモノを常に欲しているように見える。主人公がヒロインを監禁するきっかけの一つの電車内でヒロインが不良に絡まれてしまったという出来事もそう。このことを引合いに彼女を監禁したのは世の中の悪意などから守るためにだとかそんなことを主人公は主張する。この出来事の中で主人公は最終的にはシビレを切らしてヒロインを不良から救っているのだけれども、途中まではその時その場にいた電車の乗客達同様に「誰かが止めるだろう」と見て見ぬふりをしていた。主人公は不良だけでなく乗客も勘定に入れて世の中に対して絶望したような事を語る。だけれど、途中までとはいえ同じことをしていた自身を勘定にはいれない。だからこちらからしてみれば「自分の好きな子に自分の好きなゴムを着せたら」という仄暗い欲望を満たすための大義名分を得たぞと、そんな風に見える。

 そしてこんな主人公には結局破滅しかない。どのエンディングでも主人公は破滅の道を歩む。周囲の人間も巻き込んで。自分の幸せ、欲求を満たすことだけを求めた主人公が、関わった人間を巻き添えにして不幸になる、そんなお話でしたとさ。ヒロインと心を通わせたかのようなエンディングでも、結局通報したのは本当にヒロイン自身だったんじゃないかと僕は思う。

 

 あと、意外にエロかった。ただ、いわゆる「オカズに使える」というのでなく、エロスとかエロチックという表現の。ヒロインが喘いだりってのが全然なくて、主人公目線でやたらと艶めかしく描写するものだから、プレイがやたら倒錯的でも「エロイ!」と思えた。

 

 さて、細かく各エンディングがどうのというのも長くなりそうなので、とりあえずこの辺で感想終わります。一応もう一回言うけど、面白かった。単純に悲劇とか狂気がケレン味全開で描かれる作品とは違う、じっとりとした湿り気のある内容で、久しぶりにのめり込むようにテキストを読むゲームだった。怯えながらやったので読み込みも甘いとは思うけれど、僕の感想はこんな感じ。酒飲みながら書いたので結構変な文章になっているかな。